教えて！住まいの先生

こういう話って、実際に数字で比較してみないと、どうしてもモヤモヤしてしまうと思います。シミュレーションしてみましょうか。15～20年住んで今後売却したら・・・ということなので、今後20年間、マンションを賃借した場合と、購入して居住した場合を比較します。

【マンションを賃借するケース】
家賃が10万円は超える地域にお住まいということなので、仮に家賃を12万円とし、家賃補助によって自己負担が57,000円であるとしましょうか。家賃以外に更新料が2年に1回、家賃の1カ月分必要になるとします。
⇒ この場合の負担額は、5.7万円×12カ月×20年＝1,368万円（家賃負担総額）、12万円×（20年÷2年）＝120万円（更新料支払総額）、合計1,488万円です。

【マンションを購入するケース】
3,000万円弱のマンションを買ったら・・・ということなので、2,900万円のマンションを頭金1割・フラット35で買うとしましょう。借入額は頭金を除いて2,610万円で、ローン期間は20年とします。金利は1.6%、ボーナス払いはなしとしますね。

ローンの総支払額は3,052万円なので、3,052万円－2,610万円＝442万円を利息として支払うことになります。

また、マンションを購入すれば管理費・修繕積立金を支払う必要があります。マンションの広さなどにもよりますが、3万円/月くらいとしましょう。20年間で支払う管理費等は、3万円×12カ月×20年＝720万円です。

このほか、毎年固定資産税が発生します。買うマンションが新築か中古かで軽減があったりなかったりするのですが、簡単化して10万円/年としましょう。10万円×20年＝200万円です。

⇒この場合の負担額は、442万円（利息）＋720万円（管理費等）＋200万円（固定資産税）＝1,362万円です。

【両ケースの比較】
20年間の比較では、マンションを賃借するケースの負担額の方が、1,488万円－1,362万円＝126万円、負担額が多くなる計算になりました。じゃあマンションを購入するということで決まりだね！と言いたいところなのですが、実は1点、考慮できていないことがまだあります。それは、「マンションを購入するケースの20年後の売却額」です。

20年後に、購入時と同じ2,900万円で売却できれば、上記のとおり購入した方が126万円有利なのですが、売却価格が購入時の2,900万円よりも126万円以上下落してしまった場合は、結果が逆転して賃借の方が有利になります。

たとえば2,900万円で買ったけど、20年後に2,000万円でしか売れなかったというなら、20年で900万円が消えてしまったのと同じなので、圧倒的に賃借の方が有利になります。逆にたとえば、20年後にマンションが3,500万円で売れたとしたら、圧倒的に購入した方が有利でしょう。

以上のように、賃借と購入を比較する場合は、購入した場合の、マンションの将来の売却価格がどの程度期待できるかを考慮することも非常に重要になります。買うなら駅近で人気のあるマンションを買いましょうとよく言われるのはそのためです。

住宅ローン控除等々、細かい条件までは検討していませんが、こんな感じで比較検討してみてはいかがでしょう？くれぐれも、『自己負担の57,000円は払い捨てで何の得にもならないから購入すべきだ』などという、よくある短絡的な話には騙されないようにしてくださいね。

質問者さんが最良の選択をできることをお祈りしています！

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