教えて！住まいの先生

一級建築士で、ホームインスペクション（住宅診断・建物検査）をしています。
築30年や50年の住宅のインスペクションも行っています。

現在ご検討中の昭和36年築のリノベーション済みアパート物件の「安全性」についてですが、
壁を剥がし構造や内部の状態等を確かめられるわけではないので、残念ながら判断することはできません。

しかしながら、「非破壊」でも建物の状態をある程度把握する方法はありますので、ご紹介しますね。

１．建物の傾きをはかってみましょう。
ホームセンターなどで水平器が数百円で売られています。気泡が基準線から大きくはみ出ないか確認してみましょう。
柱の傾きは、5円玉に糸をくくりつけたもので確認することができます。
また、建具と壁（または戸あたり）の間の隙間や、建具と敷居の間の隙間を見ると、傾きが分かることもあります。
品確法の技術基準で1000分の6以上の傾きがある場合、瑕疵（欠陥）がある可能性が高いとなっていますので、参考にされてはいかがでしょうか。（必ずしも瑕疵があるわけではありません。）

２．点検口があればのぞいてみましょう。
キッチンや洗面の床などに四角い床下点検口はありませんか？
和室収納の天井などに小屋裏点検口はありませんか？
貸主や仲介業者の承諾を得て、のぞいてみましょう。（懐中電灯や脚立が必要です。）
水漏れ、水染み、木部や金具の腐食、蟻害、動物痕などが無いか確認してみましょう。

３．リノベーション前の状態を聞いてみましょう。
現在は見た目きれいな状態だと思いますが、リノベーション前はどんな状態だったでしょうか。
水染みやカビはなかったか、雨漏りしてなかったかなど、聞ける範囲で聞いてみましょう。

４．耐震補強しているか聞いてみましょう。
昭和56年6月1日以降に建築確認を受けた建築物は「新耐震基準」を原則満たしており、それ以前の建築物よりも耐震性が高いと言えます。
昭和36年築なので、建築当初のままだと耐震性は期待できませんが、耐震補強している場合があります。
どの部分にどのような補強を施したか聞いてみましょう。

リノベーション物件ということで、見た目はおそらくきれいだと思うのですが、
安全に住みたいとお考えなら、重要なのは建物の内部や耐震性ではないでしょうか。

建物の状態は築年だけでなく、
・劣化状況
・適切にメンテナンスされているか
・地盤に不同沈下が起きてないか
などによって大きく異なります。

一般的に同じような立地なら、築浅物件は家賃が高く、古い物件は安い傾向がありますので、古くても状態のいいものを見つけることができればお得ですよね。
上記の方法で、是非良質なお宝物件を見つけてくださいね。

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