教えて！住まいの先生

はじめまして。建築士として住宅購入の相談に乗っているコンサルタントの辻と申します。

仕事で出会った方々や、私が親の生活を見て思ったことを書かせていただきますね。

まず、マンションが一戸建てと違う点ですが、一番は平面の移動になることかと思います。物干しが二階にある場合などは、マンションになるとかなり移動がラクです。

また、夜中などに地震で飛び起きたとき、二階の寝室から暗い階段を駆け下りて一階へ…という動作はなくなります。（良くも悪くもマンションの間取りはコンパクト）

私の親が長年住んだ一戸建てからマンションに移り住んで言っているのは『庭に誰か潜んでないかと心配しなくていい』という防犯の安心感でした。

いくらセキュリティがしっかりしたマンションでも、最後は家ごとの玄関や窓の施錠が不可欠ですから、マンション＝防犯性が高いとは簡単には言えません。ですが、そもそも家が上下左右囲まれていて一戸建てのような独立感がないのが安心という方は多いようです。

上下左右囲まれているという点は、マンションが一戸建てよりやや気を遣うことになり、デメリットでもあるでしょう。住み替えた実家の親は『上の方、お孫さんがいて週末の昼間はドタバタだわ』と言っています。

一戸建てでも近所の大音量の音楽で困っている方がいるので、マンションという形だけの問題ではないかもしれませんが。

マンションならではの管理費や修繕積立金ですが、これは何にお金を使うかの考え方次第でしょう。

例えば一戸建てだと10〜15年ごとに雨漏り対策で屋根や外壁リフォームが必要で、家主ひとりで全額負担です。マンションはそれを共同で、分割で積み立てているわけです。しかも自分ひとりでで施工会社とやりとりする手間はありません。

管理費は、一戸建てには発生しないものなので新たな支出ですね。管理員や清掃員がいるので、台風のあと家のまわりを自分で掃除しなくてもよかったり、共用廊下の電球を変えてくれたりと生活がラクになるとは思いますが、なんでも自分でやる方には重要ではないかもしれません。

マンションも一戸建てもそれぞれの特徴があり、絶対こっちがいい！とは言えず、最後は何を優先したいか個人の価値観で決まると思います。

ちなみにマンション移住について相談しに来られるご年配のお話を聞くと、『身体が衰えたときに一戸建ては何かと苦労しそうだ』という観点で思いつかれた方が多いようです。

マンションへの住み替えだけでなく、平屋への建て替えや食事付きの年配向けマンションなど選択肢は他にもありますから、お子さんが巣立たれてからじっくりご検討なさってみてください。

以上、ご参考になれば幸いです。

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